15 玉の井

六萬寺のかたわらに大谷池という池がある。その池の東北の隅に年中渇れない泉がある。

昔、寿永2年の頃六萬寺は安徳天皇の行宮であったが、その時天皇がこの泉の水を使われたと言われ、別の名を「杉の井」とも言う。

太平洋戦争中、集団疎開でこの寺に来ていた大阪の香簑国民学校の児童達30余名も、この清泉のおかげを受けたというが、今は荒れ果てて往年の面影はなく、発見さえ難しくなっている。

杉の井といわれていた名残りか、杉の大樹が倒れて朽ちている。





横たわる杉の辺りが「玉の井」