49 鞍谷の鞍 


庵治町の鞍谷集落の奥村家には、金銀の飾りのついた鞍が伝わっていた。

これは源義経の馬の鞍だという人がいたが、平家の武士が残して行った物でないかともいわれている。
義経は、平家滅亡後は兄頼朝の追討の軍に追われ、奥州を流浪したので、この鞍は平家が西国に落ちていく時、残した鞍であるというのが事実であろう。
鞍谷集落の奥には、南海・古田というどこからも見えない田畑があり、これらの集落は、平家の落人が隠れ住んだという伝説がある。
古田集落の故老に、隠れ里について尋ねると、
「若い頃、そんな話を聞いたことがあるの・・・」との返事であった。
鞍谷という地名の元になる程の立派な鞍であったので、奥村氏は永らく床の間に飾っていたが、この地を離れる頃には無くなっていたそうである。




鞍  谷




古  田




南  海