碑　文　

碑　文　

木田郡誌・牟礼町史を参照しています。

８　総　門　址

源平合戦総門碑記（西面）

是為安徳天皇六万寺行宮北柵門遺趾　里人相伝称曰総門因又名其里也　按寿永二年九月平氏奉天皇于讃岐以牟礼六万寺為行宮（拠六万寺縁記）

文治元年二月二十日源義経来襲行宮縦火於牟礼高松平氏大驚擧族艤舟于総門渚而避　既而知源軍寡単返棹迫門海陸交射日冥交綏義経虜平軍夜襲篝于門者徹明　平軍謀夜襲不果　明日平軍奪門而知源軍寡単返棹迫門海陸交射日冥交綏義経虜平軍夜襲篝于門者徹明　平軍謀夜襲不果　明日平軍奪門而上不利　乃奉御船避于志度　遂遷西海云（拠源平盛衰記）

予稽門旧瀕海澨可知也　而今僅存遺構于田里鶏犬之間滄桑之変可驚也　乃恐歴年益久口碑亦泯　史蹟意至無可徴焉　故里人之乞記也　不辞而識之　又表出村畔地名係戦蹟者并諗諸来者云

　　　　安徳天皇六万寺行宮遺蹟　　　　　　　東南十三町

　　　　佐藤嗣信墓及名馬太夫黒塚　　　　　　正南二町

　　　　那須宗高射扇所祈石駒立石　　　距門　正北五町

　　　　雨龍岡源義経陣趾　　　　　　　　　　東南四町

　　　　洲崎洲崎堂今称洲崎寺　　　　　　　　正北二町

　　明治三十有六龍集癸卯三月初一日

　　　　　　　　　　　　　　　　　陸軍大将従二位勲一等功二級伯爵　野津道貫題額

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高松　欣堂小史　黒木安雄撰並書

１０　佐藤継信の墓

佐藤氏念祖碑　正二位勲一等公爵　徳川家達篆額

皇朝国体尊厳、人民忠義、古より勤皇節に死する者数うるに勝う可からず。然も天運循環、治に淑否有り、道に顕晦あり、故に王化衰えて覇政興り、覇政廃して皇権復す。王覇皇衰の間、往々昏迷操守を失う者有り。惟豪傑卓異の士、変に処し宜しきを秉り、忠を事うる所に移して、而して先王の遺風を千載の下に存し、以て皇権の復するに及び、世をして感奮起する所有らしむ。佐藤兵衛尉の如き、豈其の人に非らず邪。宣なる哉。天の降鑑し、永く其の胤に祚して以て今日有る也。君諱は嗣信其の系は鎮守府将軍藤原秀郷より出ず。秀郷の裔基治佐藤を以て氏とす。陸奥の信夫の荘司となる。其の族清綱の女を娶る。押領使秀衡の従姑たり。二子を生む。長は即ち君なり。荘司智兵法に通ず。君弟忠信と皆驍勇騎射を善くす。源義経陸奥に至り、秀衡倚る。荘司聞きて之を見深く相結納す。其の援に兄頼朝が軍に赴くに迨び、意に偕に行かんと欲す。疾を以て辞す。二子を薦めて己に代らしむ。発するに臨み誡めて曰わく、汝質を即君に委す。死に之いて他靡かれと。僉対えて曰わく、謹んで教を奉ずと。義経も亦之を信任す。其の京師に在るや、故将鎌田政家が子盛政、光政と並びに奏して兵衛尉と為る。四天王と称す。屋島の役、敵将平教経、義経と挑戦せんと請う。義経之を聴さんと欲す。教経素と射を善くするを以て聞えたり。君諫めて曰わく、教経は偏裨のみ、大将の敵に非ざる也。且つ彼巧詐変有らんことを恐る。臣請う代わりて行かむと。乃ち佯わり義経と称して馳せ進む。矢其の胸に中りて墜つ。教経の従者進みて之を斫らむと欲す。忠信射て之を仆す。扶負して営に帰える。義経泫然、首を膝に枕せしめて言わむと欲する所を問う。時に君気息幾ど絶えたり。其の声を聞き、目を張りて曰く、臣父の命を奉じて君に事う。今君に代りて死す。復何か憾みむ憾む所の者は未だ君が敵を亡すを見ざるのみと。終に起たず。実に後鳥羽帝の元暦二年二月十九日年二十八なり。後二年、忠信も亦義経の為に京都に死す。義経連りに兄弟を喪い、悼惜己まず。其の頼朝を避けて再陸奥に至るや、首として佐藤氏を訪い、家人を弔慰し、為に冥福を平泉中尊寺に修し、又塚を其の香花院に築きて之を祭る。今の飯阪医王寺の両碑は即ち是なり。兄弟の妻も亦孝貞、善く舅姑に事う。義経の来る。姑二子を追思して禁せず。遂に寐す。二婦胥謀り、佯りて雄装をなし、擐甲し薙刀を執り、夜姑に見えて曰く、願くば之を安んぜよ。二児凱旋して此にありと。姑大いに喜び疾稍愈えぬ。今の磐城斎川甲冑堂の像は即ち是なり。頼朝の奥羽を平ぐるや、荘司年七十、秀衡の子泰衡を輔け奮戦して死す。頼朝その族を夷せんと欲す。然れども州人が佐藤氏を欽尚するを以て、民心の服せざらんことを恐れ特に君が遺弧祐信に命じて祖を承けしむ。仍ほ旧邑を食む。其の後転徒するもの再九世正信に至り、後亀山帝天授中、出羽中山城に徙る。子の正利、応永中兵乱にて邑を失う。卒に農に遷る。庄内餅山に居る。正利十一世の孫彦十郎、宮曽根に移る。其の地墾し家富み望降し、光格帝の時、益信と云う者有り君が二十七世の孫たり。学を好み和歌を能くす。陰に勤皇の志あり。曾孫信古明治の朝選ばれて衆議院議員たり。今は貴族院議員たり。益信又外従孫に清河正明あり。世々佐藤氏と昏媾を為す。幼にして益信に従い恒に君が屋島の戦状を聴き以て自ら励ます。孝明帝の時敵愾を以て著わる。国事に死す。識者以て承くる所有りと為す。頃者信古譜乗を以て東京に来り、告げて曰わく、遠祖の墓地遐かに路阻る。久しく掃展を曠うする。走往いて之を修めむとす。敢て銘を以て請うと。鳴呼予は讃人なり。曩に廔君が墓下を過ぎ阡道の荒廃治めざるを見て、心竊かに之を哀しむ。今其の子孫の儼存し、屹として故国の望たるに接す。其の請微くとも固より将に録して之を伝えんとす。譜乗を按ずるに君が義経の為に死するは、虜を傾け力を尽し身を以て難に代わる。唯一時遇合し意気に感激するに止まらず。寔に父の命を奉じて然るなり。是其の忠孝智勇操守の卓なる、決して尋常武夫の企及する所に非ず。惜しい哉史伝闕いで載せず。載すと雖も亦其の事実を失つ。世知る者寡し。是に於て拠りて之を叙述し、且つ、為に前後を溯沿し、其の源流所由を徴すること此の如し。君の墓、本屋島の東南武例の林中に在り。乃ち義経の葬る所なり。但し年久しく傾壌し、地又僻鄙にして人跡到ること罕なり。正保中高松藩主松平英公、為に移し石を建て之を表す。信古既に道阡を修し、傍の民家を買い壌垣を拡げ掌墓を置く。念祖聿修其れ庶幾き者と謂うべきか。乃ち之に系くるに銘を以てして曰わく。

山岳崩すべく、河海塡めつ可し、惟道は変ぜず、忠孝万年、謂うこと無かれ時異なりと、謂うこと無かれ事遷ると、秉彝徳を好む、乃ち斯の賢を見る、屋山の麓、讃海の浜、欝々たる佳城、久しうして益堅し、誰を之を修むる者ぞ、汝の裔孫よりす。銘して以て世に告ぐ、忠孝万年。

　　　昭　和　六　年　五　月

　　　讃岐　牧野謙撰　　　　羽前　宮島大八書　　　　三十世孫信古謹建　木村嘉市鐫　

佐藤継信墓道碑　　従四位勲四等香川県知事　林　薫撰並書

神櫛廟之下堧古樹者為佐藤三郎継信君墓地在讃州三木郡牟礼里大夫黒之家隣馬行人過謁墓皆為流涙世伝以為南海堕涙碑按史治承四年八月源二位頼朝起兵伊豆尋入下総庶弟五位義経時在陸奥衣藤原秀衡乃潜出平泉舘赴而応之秀衡遺君与弟四郎君諱忠信追而従之君兄弟秀衡外族也遂倶事五位與鎌田盛政光政並称四天王屋島之役平教経勁弓長箭連擬五位麾下騎士輬屏当焉教経射斃十余人君曁光政亦中其矢四郎君扶君帰営五位監而視之加首於膝問所欲言君曰至自出陸奥委身於公今日代公而死則垂名于竹帛亦可謂栄矣但憾不睹公殄滅世讐耳言畢而絶年二十八実文治元年二月也五位痛惜不能措講志度寺僧覚阿厚葬君曁光政於牟礼林中飾所愛駿馬大夫黒以為賻秀衡所甞贐也董以明治二十一年十二月知香川県越三月禴于家廟始行香君墓墓石高五尺有奇題曰佐藤嗣信之墓寛永二十年五月高松城主讃岐守松平頼重公所重修云屋島八栗二山之間海陸数里源平二氏当所相攻戦而二氏興亡之機一繋于是役則平氏顕貴為其主狥難者盖亦多矣而七百載之下古墳纍々其人不可復辨焉君乃源氏一臣隷耳而名與兆域永不相堕俾後人敬之如生余愛猶及所賻之馬表其死所以伝胡然乎我竊知其所由来矣五位之逃京師匿吉野山也山僧攻之事急将自尽四郎君曰臣兄継信代公而死今日臣亦当代公而死五位不許固請而聴乃易甲而擐射戦禦敵以脱五位時文治元年十一月也明年入京師潜索五位所在九月糟谷有季以兵囲其舎四郎君與従士二人倶力力闘而死年二十六君之父諱元治為信夫荘司文治五年七月二位撃陸奥藤原秀衡以其舎五位也荘司君與叔父河辺高経曁伊賀良目重高拒伊達郡石那阪為藤原為宗所襲而敗遂親信十八人冒陣而没且夫源氏家世宣力王室積攻伐之労固非一日也而一旦與平氏構難父子相継僇死廟鬼殆将不血食天報施之倒若是其惨也則人心之閔之亦有甚焉当是之時五位自任興復之責西殲平氏於檀浦俾二位得坐成其志然而有功不録訴寃不諒遂誅夷于衣川古今皆深為五位傷焉呂尚父有言曰愛其人者兼其屋之烏況君則五位之所最親愛而闔門前後皆為五位効節之烈乎哉是其義之感人心独所以深且遠也耳先是邑人相謀将勒石墓側以詳君之事至是嘱董撰之記盖以董係君之裔也抑平氏家亦世承将卒之任與源氏並護王室而至于清盛勃興至太政大臣乃檀張威福脅持上下者二十余年以私栄於一門神人所厭棄抔土未乾而子孫殄夷覆滅之跡人莫肯弔者可不哀哉烏虖人臣而欲負其君者苟有監於君墓則亦将知所懼

明治二十二年三月

（裏　面）　発起人　柴野新八　岡坂政五郎　山田徳三郎　谷本亮太　小西祁作治

１１　大夫黒の墓

建碑に至っていないが、碑文の草稿のみ屋島寺に残っている。

天下之名馬莫若奥　奥之良者莫若此馬　藤鎮守府秀衡好騎之　及源廷尉義経去奥　秀衡割愛贈之　初名淡墨　廷尉其爵大夫　因曰大夫黒　渉宇治川漲　踏一谷巉巌　所謂臨陣無敵一心成功者也。廷尉義経葬佐藤嗣信　謂僧施以馬及太刀　蓋深感其忠勇也。及此馬死加帷埋諸嗣信墓側　漢明建白馬寺宋祖使賦赭白皆報其労也。又詩家云。千載詩人拝蹇驢　杜甫所騎猶拝之　況此馬与将一心成大功豈可曲以畜産賤之哉。先君既命刊石表其墓　今公又命臣作銘可謂恩及禽獣矣銘曰　繊毛如膏色浅驪兮　此物超光　執権奇兮　轡之柔矣閑且馳兮　遐祚爾労　為建碑兮

　　　　元禄十六年歳次癸未　　　　　臣十河保定謹撰

１２　鎌田兵衛尉疑塚碑

鎌田兵衛尉疑塚碑文

源廷尉義経有四臣　曰鎌田盛政光政　曰佐藤嗣信忠信　皆各兄弟也　以勇武聞　廷尉並奏為兵衛尉　称四天王　元暦之役　従攻平氏于屋島光政與嗣信　同日戦死　廷尉悼惜　倶厚礼葬諸武例林中　後正保中　高松藩改葬嗣信表之　光政則墳塋泯然　至今無恤　為其主死　而後世顕晦　之殊如是　可歟　今玆佐藤氏裔信古　修其祖墓阡　聞而悲惋　欲索而表之　捜訪累月不獲也　会見有二石塔並立阡上　相距十余弓　其一在墓後　其一小屏而左　有老松　其大蕨牛　当前不見　就而諦視　則其形相同　皆為五層　祟五尺許　囲称之　蒼苔蒙被　大抵為数百年外物　信古以為形色之司　吾所索者無乃是耶　疑以伝疑　待于後人　不亦可手　於是請予文以問世　蓋両墓　改葬時　亦倶移之　第嗣信代廷尉死　後世喧称　光政史載有缺　人或不知　是其所以到顕晦之殊也耳　予既哀光政之不幸　又喜信古之高諠也　乃為叙其梗概　俾刻于石　以待後之君子孝覈而定之

　　昭和六年五月　　　　　讃岐　　牧野謙撰

　　　　　　　　　　　　　讃岐　　入谷暘書

　　　　　　　　　　　　　羽前　　佐藤信古建

３６　佐藤継信顕彰碑

嗣信の碑

維歳任午之夏我君受封讃州的爲維城助確乎其忠貞可觀焉。一日講武之暇泛蘭漿飛彩鷁呉歌越唱逍遥屋島偶覽佐藤次信戦死址茲乃命下吏刊貞石建新碑表義旌貞於乎君之用意也深矣。至哉次信決死于元暦之昔而喞恩于��丙Ｔ�狭�禳版橘人昇酥衞耽觸馭〆諺週�鷲菽唾ず槊馥鑈兒�彖犢圈ｇ儺Ⅸ蟶楞飴暴衾閒髻降畍嫋蓮降畍寥塒掌戚築�

於皇次信兮挺于濱危之場酬恩致死兮百世誰曰不剛遇盤當錯兮顯于鏌之雄鋩識定謄壯兮誠依教養有常尤可稱者兮維夫在將之良建碑刮石兮山高水長。

　　寛永癸未仲夏上浣渉笔於高松城依于

　　大守松平右京太夫源頼重公命　　　　　儒臣岡部氏拙齋作之