14 不喰梨
 

屋島登山道の中腹にある。

昔、ここに梨の大樹があって多くの実を結んでいた。

ある日この樹の持主がやってきて、梨の実を取っていたところへ空海上人が通りかかって、

 「その梨を一つ頂けないか。」とお願いした。

その人は、

 「美味しそうに見えますが、苦くて渋くて食べられるものではありません。」

と嘘を言って差し上げなかった。

その後は何故か多くの実を結んでも、無味乾燥で木を噛むような梨になってしまい、持主は自分の邪険で貪欲な心を恥じて、善心に立ち返ったということである。これから後この梨の樹を不喰梨と言うようになり、人々は戒めとしたということである。

この梨は花梨(かりん)でなかったか、と言う人もおる。