風 俗 習 慣
昔から伝えられてきた風俗習慣には、太平洋戦後は全く廃れてしまったものがあり、又、様式が大きく変貌したものの基本的なやり方、考え方はそのまま引き継がれているものもある。これらは所により、家庭により多少異なっているが、一般的なものを、ここに記録しておくことにする。
婚 儀 最近は、結婚式場が多くできたので、式場を利用する機会が増えてきたが、これは、五・六十年前の習慣である。 1 大抵は近所の世話好きのおばさんの斡旋により、話が始まる。 2 両家(遣り方・婿嫁をだす方 取り方・婿嫁をもらう方)の家族の人達が相談して、この話は見込みがあると決定すれば、両家の誰かが、本人は勿論、相手方の家族の人柄等を調査する。 3 両者が婚約したいとの希望があれば、見合いをする。この場合婿は媒酌人と同行して、嫁となる者の家を訪問するか、神社参拝にかこつけて氏神様へ参拝して、遠くからお互いに観察する。 4 双方に異存がなければ良い日を選んで、取り方からタノメ(結納)を贈る。ここにおいて婚約が成立する。 5 その後、黄道吉日選んで結婚式を挙行する。式は大抵夜行うのが通例であった。 6 結婚式の当日、新婦側は、衣服調度その他約束の拵道具を婚家先へ、特に依頼された「道具担き」と呼ばれる人が搬入する。この後、門出の宴をはり、宴のはてるを待って新婦は、父母・媒酌人及び親類の人達に付き添われて出発する。この場合、新郎の家族は勿論近隣親戚への土産物を持参する。婚家では、途中まで出迎える。新婦は、婚家が準備した待女郎に手引きされて婚家に入る。 先ず、婚家先の神仏に参拝し、新郎新婦は三三九度の盃を交して夫婦契りの儀式を行う。ついで新郎新婦は、双方の父母親戚間で盃を交して親戚固めの儀式を行う。これより祝宴となり、芸妓酌婦等を招いて夜を徹して賑やかな歌舞がある。 7 翌日、里方の父母親戚は新婦を残して帰る。 翌日より、免場の主婦・親戚・知人・免場の青年達を招待して披露宴を開く。 8 3日目 部屋見舞いといって、里方より母親が饅頭等を持って婚家を訪問する。 5日目 里帰りといって、新婦は饅頭を土産物として里方へ行く。この場合泊まらないですぐ帰る。 9 その後、適当な時期に、嫁の里方は新夫婦や婚家先の父母を招待する。これを婿入りと言う。 婿養子の場合もこれに似たものである。
昔、嘘のような本当のこんな話があった。 ある青年が、旧家の婿養子にとのぞまれたので、氏神様の境内で見合いをした。本人が近眼であったことと遠く離れていたので、十分に顔を見ることができなかったが、美しく見えたし気立てが良さそうに見えたので結婚することにした。 結婚式の当日隣に座っている女性を見ると、見合いした時の女性と違っているようなので、媒酌人にそのことを告げると、 「女は連れ添うてみると、同じもんじゃ」 と言われたので、 「そんなもんかなあ・・・」 と式を終了した。 翌日、家の中にもう一人の娘がいて、この前見合いした娘に似ているので、新妻に聞いてみると、 「申し訳ありません。あれは私の妹です。私は少し妹より器量が落ちるので、見合いの時、私の代りに行かせたのです」 こんなことは、昔は時々あったらしいが、少しおかしいが笑えない話ではある。 この青年は、小学校の同級生T君の父であるから本当の話である。
出 産 1 妊娠5ケ月目に、『帯祝い』と言って戌の日に岩田帯をする。 これは、嫁の里方から帯及び餅を贈り、餅は親戚近所へ配る。 2 生後8日目に命名し、親戚近所の人達を招待して誕生の祝宴(ナツケ)を開き、その名を披露する。 嫁の里方及び親戚近所より子供の衣類を当家へ贈る。又、当家からは親戚近所へ祝餅を配る。 3 生後100日に、母子共に正装して氏神様へ参拝する。これをモモカマイリと言う。 4 生後1年目の誕生日には、赤飯を神仏に供え、餅を親戚近所に配る。これをタンジョウイワイと言う。 この場合、子供が元気に育つよう願いをこめて、1升餅を子供に背負わせる所もある。 5 毎年の誕生日には、赤飯等を神仏に供え、子供が出世するようにと鯛の焼き物を造る。
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